【医師監修】骨折を早く治す方法|治りが早い人の5つの特徴とは?食事・栄養・生活習慣の全ポイント
- 根本 雅祥
- 2024年11月6日
- 読了時間: 5分
更新日:10月14日

「骨折の治りが早い人と自分とでは、一体何が違うのだろう?」
この記事では、そんなお悩みを持つ方のために、骨折を早く治す方法を徹底解説します。食事や栄養、日々の生活習慣を見直すだけで、骨の回復スピードは大きく変わります。
ぜひこの記事を参考にして、もどかしい骨折治療の期間を少しでも短縮してください。
一般的な骨折の治癒期間
骨折は、転倒や外傷などによって骨が部分的または完全に破断した状態を指します。治癒は「炎症期 → 仮骨形成期 → 骨硬化期 → リモデリング期」の4段階を経て進みます。
通常の治癒期間は以下の通りですが、栄養状態・生活習慣・生活環境によって回復速度に差が出ることが分かっています。
若年層:6〜8週間
中高年層:10〜16週間
骨折を早く治す方法:治りが早い人の5つの特徴
(1)栄養バランスが整っている
骨折治癒には、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK・たんぱく質が不可欠です。研究によると、ビタミンDが不足している人は骨癒合が1.8倍遅くなる傾向があります。(Journal of Bone and Mineral Research, 2022)
栄養素 | 働き | 摂取目安 | 含まれる食品例 |
カルシウム | 骨の主要成分 | 700〜800mg/日 | 牛乳・小魚・小松菜 |
ビタミンD | カルシウム吸収促進 | 20〜25µg/日 | 鮭・卵黄・日光浴 |
ビタミンK | たんぱく質活性化 | 150µg/日 | 納豆・ブロッコリー |
たんぱく質 | 骨基質形成 | 体重×1.2〜1.5g/日 | 肉・魚・豆製品 |
亜鉛・マグネシウム | 骨の再生補助 | 適量 | ナッツ・海藻・玄米 |
※1: 加工食品・炭酸飲料はカルシウム吸収を妨げるため控えましょう。
※2:食事から摂取が難しい場合は、医師に相談の上サプリメントを検討してください。

(2)睡眠時間をしっかり確保している
睡眠中に分泌される成長ホルモンが骨再生を促進します。特に深いノンレム睡眠中には骨芽細胞の活性が高まると報告されています。(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 2019)
・理想の睡眠時間:7〜9時間
・避けたい習慣:就寝前のスマホ光・カフェイン摂取

(3)禁煙・節酒を徹底している
喫煙は血流を悪化させ、骨折部への酸素供給を妨げます。また、アルコールの過剰摂取は骨芽細胞を抑制し、骨形成を阻害します。禁煙・節酒を徹底することが、治癒促進の第一歩です。
(4)適度な運動・リハビリを継続している
医師の許可が下りたら、患部以外の運動を取り入れましょう。軽いストレッチやウォーキングが血流を改善し、骨代謝を高めます。
(5)ポジティブマインドを保っている
「治らないかもしれない」という不安は、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を増やし、骨代謝を阻害します。焦らず前向きに回復過程を歩むことが大切です。
骨折を早く治すための「衣類・グッズ」
骨折治療において、医師から「患部をできるだけ安静に保つように」と指導されます。
しかし、日常生活の中で、特に毎日の着替えの際に、意図せず患部を動かしてしまい、痛みが走ったり不安になったりした経験はないでしょうか?
服に腕を通したり、頭から被ったりする動作は、安静を保ちたい骨折部位にとって大きな負担となり、治癒を妨げるリスクにもなりかねません。
そこで重要になるのが、患部に負担をかけないための衣類やグッズの工夫です。
「安静を保つ」ことを最優先に考えた骨折専用の服
例えば、骨折専用の服「KIRARERU」は、脇の部分が大きく開くため、ギプスや三角巾で固定した腕を動かすことなく、スナップボタンを留めるだけで簡単に着替えが完了します。
これにより、着替えの際に患部を動かしてしまうリスクを極限まで減らし、骨折部位の「安静」を高いレベルで維持することができます。
治療中のストレスを軽減し、回復に専念するためにも、こうした専用の衣類を「安静を保つための医療グッズ」の一つとして活用することをおすすめします。
骨折専用アームホルダー
また、腕を動かさないためには、骨折専用のアームホルダーを着用することもオススメです。三角巾と違い「首や肩が痛くなりにくい」という特徴があります。
黒色のものが主流ですが、「黒だと気持ちも重くなってしまう...」という方には、ネイビーなどの明るいカラーがいいかもしれません。
上述した「骨折専用の服」提供するブランドでは、快適性と使いやすさを追求した「KIRARERUアームホルダー」を展開しています。
【注意】これだけは避けて!骨折の治りを遅らせるNG行動
最後に、回復を妨げてしまう可能性のあるNG行動をまとめました。
自己判断でギプスや装具を外す:骨がズレてしまい、治癒が遅れたり変形したりする原因になります。
不健康な食生活:インスタント食品やスナック菓子ばかりの食事では、骨の修復に必要な栄養が全く足りません。
痛みを我慢しすぎる:痛みを我慢すると体に不要なストレスがかかり、睡眠の質も低下します。医師の指示に従い、適切に鎮痛剤を使用しましょう。
よくある質問(FAQ)
高齢でも骨折は早く治せますか?
適切な栄養・運動療法・服装管理で回復速度は十分改善可能です。
サプリメントは必要ですか?
基本は食事で補いましょう。不足が明確な場合のみ医師相談のうえ導入します。
入浴や仕事復帰はいつから?
一般的には骨癒合確認後。主治医の判断を必ず仰ぎましょう。
参考文献・出典
日本整形外科学会『骨粗しょう症診療ガイドライン』2023年版
Journal of Bone and Mineral Research, 2022
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 2019
日本骨代謝学会, 2024
本記事の執筆者
根本 雅祥(ねもと まさよし)
医学コラムニスト、株式会社エスケア 代表取締役、東京大学大学院 医学系研究科 修了。自身の経験から、骨折や怪我で不便な生活を送る方々のサポートを使命とし、科学的根拠に基づいた情報発信や、生活の質(QOL)を向上させるための製品開発を行っている。
免責事項
本記事は一般的な医療知識をもとに構成されています。治療・処方・装具使用については必ず主治医・専門家の指導を受けてください。
この記事の信頼性
専門家監修:整形外科医が医学的根拠に基づき監修
信頼性の高い出典:日本整形外科学会・学術論文を多数参照
実践的な経験知:実際の臨床現場での指導内容をもとに執筆
透明性:治療方針・服薬は必ず医師の判断を前提としています