【専門家が解説】骨折を早く治す方法|治りが早い人の5つの特徴とは?食事・栄養・生活習慣の全ポイント
- 根本 雅祥
- 2024年11月6日
- 読了時間: 6分
更新日:14 時間前
この記事の執筆者
根本 雅祥(ねもと まさよし)
医学コラムニスト
東京大学大学院 医学系研究科 修了、専門は公衆衛生学

「骨折の治りが早い人と自分とでは、一体何が違うのだろう?」
この記事では、そんなお悩みを持つ方のために、骨折を早く治す方法を徹底解説します。食事や栄養、日々の生活習慣を見直すだけで、骨の回復スピードは大きく変わります。
ぜひこの記事を参考にして、もどかしい骨折治療の期間を少しでも短縮してください。
結論:骨折が早く治る人の5つの特徴
まず結論からお伝えします。骨折が早く治る人には、共通する5つの特徴があります。
栄養バランスが取れている
喫煙習慣がない
質の良い睡眠をとっている
基礎疾患(糖尿病など)がない
適切な治療とリハビリを行っている
もし、ご自身に当てはまらない項目があっても、心配はいりません。これらの特徴は、日々の意識や行動で、今からでも近づけていくことが可能です。
次の章からは、これらの特徴をあなたのものにするための、具体的な方法を解説していきます。
骨折を早く治すための具体的な方法【食事・栄養編】
骨は、あなたが食べたものから作られます。骨折を早く治すためには、骨の修復に不可欠な栄養素を積極的に摂取することが何よりも重要です。
骨の材料となる重要栄養素

以下の栄養素は「骨の三大栄養素」とも言える重要な成分です。意識して食事に取り入れましょう。
カルシウム:言わずと知れた骨の主成分です。骨の強度を保ち、新しい骨組織(仮骨)の形成に必須です。
ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける重要な役割を担います。いくらカルシウムを摂っても、ビタミンDが不足していると、体内にうまく吸収されません。
ビタミンK:カルシウムが骨に沈着するのを助ける働きがあります。
これらの栄養素を多く含む食べ物リスト
カルシウム | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚(しらす等)、豆腐、小松菜 |
ビタミンD | 鮭、さんま、いわしなどの青魚、きのこ類、卵黄 |
ビタミンK | 納豆、ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ |
ポイント:特に納豆は、カルシウム、ビタミンKを同時に摂取できる非常に優秀な食材です。
コンビニでも買える!骨折中におすすめの食事メニュー例
料理が難しい時でも、コンビニエンスストアをうまく活用すれば、必要な栄養を補うことができます。
朝食:鮭おにぎり、ゆで卵、ヨーグルト
昼食:幕の内弁当(魚・肉・野菜がバランス良く入っているもの)、豆腐とわかめの味噌汁
夕食:納豆巻き、鶏肉のサラダ(サラダチキン)、野菜スティック
骨折を早く治すための具体的な方法【衣類・グッズ編】

骨折治療において、医師から「患部をできるだけ安静に保つように」と指導されます。
しかし、日常生活の中で、特に毎日の着替えの際に、意図せず患部を動かしてしまい、痛みが走ったり不安になったりした経験はないでしょうか?
服に腕を通したり、頭から被ったりする動作は、安静を保ちたい骨折部位にとって大きな負担となり、治癒を妨げるリスクにもなりかねません。
そこで重要になるのが、患部に負担をかけないための衣類やグッズの工夫です。
一般的な衣類での工夫
まずは、ご自宅にあるものでもできる工夫を紹介します。
前開きのシャツやカーディガンを選ぶ:腕を大きく動かさなくても羽織ることができるため、Tシャツなどに比べて負担が少ないです。
ゆったりしたサイズやストレッチ素材の服を選ぶ:ギプスや固定具の上からでも着やすく、体の動きを妨げにくいです。
しかし、これらの一般的な衣類でも、袖を通す瞬間やボタンを留める際など、どうしても患部を動かしてしまう場面があります。
「安静を保つ」ことを最優先に考えた骨折専用の服
そうした日々のストレスやリスクを最小限にするための商品も販売されています。
例えば、以下の骨折専用の服「KIRARERU」は、脇の部分が大きく開くため、ギプスや三角巾で固定した腕を動かすことなく、スナップボタンを留めるだけで簡単に着替えが完了します。
これにより、着替えの際に患部を動かしてしまうリスクを極限まで減らし、骨折部位の「安静」を高いレベルで維持することができます。
治療中のストレスを軽減し、回復に専念するためにも、こうした専用の衣類を「安静を保つための医療グッズ」の一つとして活用することをおすすめします。
骨折を早く治すための具体的な方法【生活習慣編】
食事と同じくらい大切なのが、日々の生活習慣です。特に「睡眠」「禁煙」「服装」の3つを見直しましょう。
質の良い睡眠が回復を早める

骨の修復は、主にあなたが眠っている間に行われます。睡眠中には「成長ホルモン」が分泌され、これが骨の細胞分裂を活発にし、再生を促してくれるのです。
最低でも6〜7時間の睡眠を確保する
寝る前のスマートフォンやPCの使用を避ける
痛みで眠れない場合は、医師に相談して適切な鎮痛剤を処方してもらう
禁煙・節酒は必須!骨の回復を遅らせる科学的根拠
喫煙は、骨折の治りを遅らせる最大の要因の一つです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、骨折部位への血流を著しく悪化させます。
修復に必要な栄養や酸素が届かなくなり、骨の回復が遅れることが科学的に証明されています。
また、過度なアルコール摂取も、カルシウムの吸収を妨げたり、骨の形成を阻害したりするため、治療中はできるだけ控えるようにしましょう。
安静と適度な運動のバランス
医師の指示通り、骨折部位を安静に保つことは大前提です。しかし、それ以外の動かせる部分は、無理のない範囲で動かすことが推奨されています。
全身の血流を良くすることで、骨折部位の回復を助けるだけでなく、筋肉の衰え(廃用性萎縮)を防ぐ効果もあります。
自己判断でリハビリを始めるのは危険ですが、医師や理学療法士と相談しながら、適切なタイミングで体を動かし始めましょう。
【注意】これだけは避けて!骨折の治りを遅らせるNG行動
最後に、回復を妨げてしまう可能性のあるNG行動をまとめました。
自己判断でギプスや装具を外す:骨がズレてしまい、治癒が遅れたり変形したりする原因になります。
不健康な食生活:インスタント食品やスナック菓子ばかりの食事では、骨の修復に必要な栄養が全く足りません。
痛みを我慢しすぎる:痛みを我慢すると体に不要なストレスがかかり、睡眠の質も低下します。医師の指示に従い、適切に鎮痛剤を使用しましょう。
骨折を早く治す方法のまとめ
この記事では、骨折を1日でも早く治すための具体的な方法について解説しました。
骨折が早く治る人には5つの特徴がある
食事では「カルシウム」「ビタミンD」「ビタミンK」を意識する
生活習慣では「質の良い睡眠」「禁煙」「服装の工夫」が重要
正しい知識を身につけ、日々の生活で実践することが、回復への一番の近道です。もどかしく辛い時期かと思いますが、焦らず、ご自身の体の治癒力を信じて治療に専念してください。